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全国風穴ネットワークとは

​先人の知恵を未来につなげる

風穴(ふうけつ)とは、山の地すべりで石が積みあがった斜面などで、そのすき間から自然の冷風が吹き出す場所のことです。その地下では、真夏でも氷のかたまりが見られることもあります。

その仕組みは、岩体や石のかたまりの中に熱が蓄積されることが基本にあり、冷たい空気は下方へ、暖かい空気は上方へと移動する原理によるものです(図1)。

図1 風穴のしくみ

鷹狩風穴(長野県大町市)

冬季には、岩体の下方で冷熱が蓄積される一方、上方では暖気(14℃前後)が噴き出る「温風穴」といわれる現象が見られます。春先に雪解け水が蓄冷熱した岩体を通過することで地下に氷の塊を作り出し、それが夏季まで残って0~5℃の冷気を吹き出します(表1)。

表1 冷風穴・温風穴の温度観測結果(2012年9月~2013年8月 鳥潟 幸男)
出典: 清水長正・澤田 結基『日本の風穴』(2015年、古今書院)

先人たちは、この現象を利用して、天然冷蔵倉庫として利用してきました。明治期の終わりころには、養蚕のための蚕種孵化調整に利用されて、全国で約300ヶ所以上の風穴小屋がありました。

また、この冷風の影響で、その地域よりも寒冷なところに生育する植物が出現することがあり、「風穴植生」と呼ばれています。

こうした自然現象を、持続可能な社会に向けて活かすために、全国各地の仲間が実践と研究の交流を重ねています。​​​

私たち全国風穴ネットワークでは、先人が生かしてきた貴重な自然現象である「風穴」を、持続可能な社会に向けて活かすために、全国各地の仲間が実践と研究の交流を重ねています。​​​

全国風穴ネットワーク

代  表 伴野 豊(九州大学名誉教授、駒ケ根市シルクミュージアム館長)

副代表 澤田結基(福山市立大学教授)

  〃   清水長正(早稲田大学非常勤講師)

幹   事 大河原順次郎(下仁田町教育委員会)

  〃   鳥潟幸男(大館市教育委員会)

​事務局長 傘木宏夫(NPO地域づくり工房)​

※主な活動​  ①全国風穴サミットの開催

             ②メーリングリストの運営

             ③啓発資料等の作成

​             ④関連イベントの企画、運営

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